オカダ・カズチカとのIWGPヘビー級王座戦で、精根尽き果てる激闘に敗れた末、バックステージで倒れて緊急搬送された柴田勝頼。
その診断結果は、急性硬膜下血腫でした。
5時間におよぶ開頭手術を受けるほど生命の危機をさまよい、柴田勝頼のファンにとっても、不安な時間が流れたことでしょう。
奇跡的に回復を見せ、2017年8月13日に行われたG1クライマックス27優勝決定戦の休憩時間にリングに登場し、試合は行わなかったものの元気な姿を見せました。
2018年には新日本プロレスのロサンゼルス道場での春季キャンプで、ヘッドコーチを務めることが明らかになり話題に。
気になるのは、柴田勝頼は復帰するのか、このまま引退か、ということですよね。
「回復しているのだから何だかんだで復帰するはず」
「いや、深刻な怪我を負ってしまったのだからもう復帰は無理」
など、ファンの間でも様々な意見が考えられます。
この記事では、柴田勝頼の現在の状況や復帰の可能性について考えてみたいと思います。
柴田勝頼の現在の状況は、ロス道場のコーチが出来るまでに回復!
柴田勝頼が2018年3月19日に運営開始となる新日本プロレスのロサンゼルス道場でコーチを務めることは、プロレスファンにとって大きな話題を呼びました。
柴田勝頼がアメリカにわたり、現地の若手レスラーやその卵とも呼べる人たちを指導する姿は、何とも想像するだけで新鮮に感じるでしょう。
柴田勝頼は現在も硬膜下血種の回復を目指すリハビリを続けているそうです。
プロレスにおける後進の育成は、実際に指導者が受け身とか技のかけ方など、手取り足取り、動きを見せながら相手にイメージさせる形で教える場面もあります。
後進の指導もリハビリの一環と言えるでしょう。
言い方を変えれば、指導することもプロレスに携わる者の仕事の一環と言えます。
柴田勝頼はまだリングで試合ができる状態ではないので、その意味では完全な「職場復帰」とは言えないかもしれません。
しかし、後進の指導ができるという意味では、プロレスに関する仕事自体ができるぐらいには回復しているのは事実でしょう。
G1クライマックス2018の会場に来場しサイン会を開催している柴田勝頼ですが、ロサンゼルス道場でのコーチングが本格化するそうで、日本に戻る機会も少なくなるとしています。
柴田勝頼が復帰できる可能性は0%ではないが…
ロサンゼルス道場でのコーチではなく、柴田勝頼が選手としてリングに復帰できる可能性はあるのでしょうか。
柴田勝頼が治療している硬膜下血腫とは、頭蓋骨の内側、脳を包んでいる硬膜と、脳の間に出血が発生し、それがたまって血腫という、いわば血の塊ができてしまうことです。
これまで、脳の怪我や病気で苦しんだレスラーも何人か存在しています。
高山善廣は2004年8月8日、佐々木健介戦後に脳梗塞で倒れ、長期欠場を余儀なくされたことがありました。
その後、リハビリやタレント活動、プロレス中継の解説などを経て、約2年後の2006年7月16日に復帰を叶えています。
▼参考記事
WWEのダニエル・ブライアンは、2016年2月8日、度重なる脳震盪により、プロレスラーとしての現役続行が困難であると発表し、引退を表明しました。
しかし、約2年後の2018年3月20日に、メディカルチェックをクリアしたということで、現役復帰を表明。
2018年4月8日にレッスルマニア34にて復帰戦を行いました。
脳に関する怪我や病気から復活したレスラーの存在は心強いですが、復帰までの道のりは相当長いことも覚悟しなければならないのも事実です。
柴田勝頼はインタビューで復帰への意欲を見せていることですし、彼の男気溢れるキャラクターを考えれば、確かに復活を遂げる姿も想像に値するように思えます。
柴田勝頼は引退するべきという声も根強い
「柴田勝頼はこのまま復帰せず引退すべき」
という声が聞こえるのも事実です。
理由は2つあるんじゃないかと思います。
まず、柴田勝頼のファイティングスタイルです。
柴田の試合の組み立ては、打撃にこだわったシュートスタイルです。
試合中に自ら激しいヘッドバットを打ち込み、自身が流血する姿を見た方もいることでしょう。
欠場の原因となった急性硬膜下血腫も、激しいヘッドバットの連打により引き起こされてしまったとの見方もあります。
プロレスは相手との攻防でファンを魅了する面もあるので、対戦相手も呼応して柴田に激しい打撃を仕掛けてくることが多いでしょう。
同じスタイルで復帰した場合、柴田勝頼の脳にさらなるダメージを蓄積させる恐れがあります。
そして、もう一つ。
柴田勝頼には、現在の境遇に似た悲しい過去があります。
かつて新日本プロレスのヤングライオンとして切磋琢磨していた、福田雅一さんの事故です。
福田雅一さんの死因は、柴田と同じ急性硬膜下血腫だったのです。
しかも、福田雅一さんが倒れてしまった試合での対戦相手は、何と柴田勝頼その人だったのです。
日本ではプロレスの歴史上、試合中の事故で選手が亡くなったケースは4件あるのですが、福田さんの場合を含む3件の死因が急性硬膜下血腫です。
つまり急性硬膜下血腫は、それだけ深刻な怪我なのです。
幸い柴田勝頼の場合は、コーチをできるまでに回復しましたが、福田さんの死と自身の命を無駄にしない意味でも、選手としてのリング復帰は辞めるべきだという声もあるようです。
まとめ
柴田勝頼が公に元気な姿を見せてくれることは、プロレスファンにとっても安心できることではあります。
脳に関する怪我からの復帰は、他の怪我と比べてもかなり難しいうえ、急性硬膜下血腫は、症状にもよりますが、死に結び付くこともある深刻な怪我です。
柴田勝頼も、一度生死を彷徨った身でもありますし、リング復帰に関しては慎重な判断が迫れれるのではないでしょうか。